行事

夏の大三角は七夕と天の川にまつわる3つ星、1万年先には北極星になる星の話

行事

夏の大三角(なつのだいさんかく)

あるいは

夏の大三角形(なつのだいさんかくけい)は

こと座α星の「ベガ」

わし座α星の「アルタイル」

はくちょう座α星の「デネブ」の

3星座の中で一番輝く3つの星を結んでできる

大きな三角形です。

夏を代表する星たちで

他の星座をさがす時の目印にもなる星です。

七夕伝説は星合伝説とも言い

3つの七夕星がおりなす

ロマンあふれる夏の夜空には欠かせない

夏の大三角の話です。

観望好期

夏の大三角は

本来は

1年を通して見ることができます。

観測に適した時期は

7月上旬~9月上旬で

7月なら午後10時頃~11時頃。

特に

8月の20時~21時頃が

おすすめの最適な観測時期です。

9月上旬なら7時~8時頃。

夏の大三角はどこにある?

Wikipedia 夏の大三角

夏の大三角の3つの星は

南東の空高く見上げ

他の星とは明らかに明るさの違う星があり

夏の夜空で一番明るく白く輝く星が「ベガ」です。

空に向かって

腕を伸ばし「握り拳」を作ってください。

一番輝くベガから

拳3つ分「右下の方向」へ星をたどると

周囲の星々よりも輝いている星が「アルタイル」で

ベガより少し暗い星です。

ベガから

拳2つ分「左下の方向」へ星をたどると

アルタイルより

少し明るさが控えめな星が「デネブ」で

結ぶと大きな三角形になります。

東から西方向へ移動し

時間がたつと、位置は変わりますが、

形は変わりません。

月明かり、街明かりが少ないほうが

見える条件に適しています。

そして

「天の川」も年中見ることができますが

7月~9月頃が見やすい時期です。

国立天文台のホームページの

「今日のほしぞら」のページで、

「夏の大三角」や「天の川」の位置・方角が

簡単に確認することができます。

星合伝説

天の川を挟んでベガとアルタイルがあり

デネブが天の川の橋渡しをする

ロマンあふれる七夕の星合伝説の星たちです。

旧暦の7月7日

「輝く2つ星に願いを乞い、物を供えて祭った」という

中国の行事が

7月7日

織女(しょくじょ)と牽牛(けんぎゅう)の2星を祭って

裁縫技芸の上達を祈願する星祭りとなり

やがて

7月7日

織女と牽牛が天の川を渡って1年に1度

会うことを許された日として

七夕伝説、星合伝説となりました。

α星(アルファせい)とは

α星(アルファせい)は

原則として

各星座の中で、

最も明るい星(最輝星)に付けられた符号であり

主星(首星)と呼ばれる星です。

「こと座のα星」と言えば

「こと座で一番明るい星」となり「ベガ」となります。

昔の目視観測で明るい星から順に

α、β、γ、δ・・・と

ギリシャ文字がつけられましたが

全88星座の中では

α星が最も明るい58星座、

α星の存在しない星座が4星座、

α星が一番明るくないものもは26星座で

全星座の3分の1はα星が、最輝星ではありません。

3つのα星

各α星についてお話いたしますが

天文学的な数字や内容のため誤解がありましたら

何卒ご容赦くださいますようお願いいたします。

こと座のベガ

ベガは

七夕伝説の

「おりひめ星」

「織女星(しょくじょせい)」です。

星の明るさを測ることを「測光」といい

ベガは「測光標準星」として

全天に輝くたくさんの星の中で

すべての星のデータの基準星となる

もっとも重要で特別な星でもあります。

アラビア名はアン=ナスル・アル=ワーキで

「落ちるワシ(ハゲワシ)」を意味し

ベガ近辺の、

ζ(ゼータ)星とε(イプシロン)星と呼ばれる

3つの星が、元々星座の名前であり

この3つの星が「V形」に見えるため

通例

「翼をたたんで獲物に向かって急降下している鷲」の

姿に見立てたようですが

急降下ではなく「Λ型」から

「木につかまり羽を折り畳んで休んでいる鷲」の

姿を示したという解釈もあります。

1光年(約9.46兆㎞)は

光が宇宙空間を1年間に進む距離ですが

ベガから地球までの距離は25光年

半径は太陽の2.7倍

太陽の2.6倍ほどの重さがあります。

地球から見て、全天で5番目に明るく

見つけやすい明るさを有しているのは

太陽の51倍の光を放っていて

地球に近い位置にあるためです。

現在の北極星は、

「こぐま座α星ポラリス」ですが

およそ12,000年後には、

ベガが北極星となります。

地球の地軸(自転軸)は

常に一定方向を向いておらず

長い年月の間にゆっくりと軸がずれるため

別の星に移り変わっていきます。

過去では

紀元前12,000年頃はベガが北極星でした。

ベガは年齢3.5億年と

地球よりも後に誕生した、まだ若い星ですが

巨大な星でありながら

一周12.5時間という高速で自転しているため

膨らんだ楕円状の天体になっており

高速自転による遠心力で

自壊する速度の94%にまで達していて

自壊寸前の速度で高速自転している事がわかっています。

今後

数十億年と何事もなければ

星が進化の終末期にとりうる形態の一つである

もはや進化せず冷えていくだけの

全く光らない天体になると考えられています。

わし座のアルタイル

天の川を挟んで

織女星(ベガ)と相対した位置にあるのがアルタイル。

七夕伝説の

「彦星(ひこぼし)」

「牽牛星(けんぎゅうせい)」です。

「犬飼星」の和名もあり

古くは

「比古保之(ひこぼし)」や

「以奴加比保之(いぬかいぼし)」の

名前で伝えられていて

アルタイルと

両隣りのβ(ベータ)星、γ(ガンマ)星を

両脇に犬を従え引き連れている姿に見立てたものです。

ベガの「落ちるワシ(ハゲワシ)」とは対をなし

アラビア名の

アン=ナスル・ッ=ターイルが短縮された

「飛翔するワシ」の意味となります。

アルタイルをはさんで

β星、γ星の3星を

「翼を広げたワシ」の姿に見立てたもので

アラビアでは

「わし座」と「こと座」を合わせて

アン・ナスライン(二羽の鷲)と呼んでいました。

織女星と彦星の距離は14.4光年で

年に1回だけ会うことができるという伝説は、

ロマンチックですが

仮に物理的に言うと、

光速で彦星が織女に会いに行った場合

辿りつくには14年半もかかるのです。

地球までの距離は16.5光年

半径は太陽の1.6倍で、

太陽の1.8倍ほどの重さがあります。

地球から見て、全天で12番目に明るく

明るさは太陽の約10倍です。

一周8.9時間と

ベガと似たように

非常に超高速で自転しているため、

赤道部分が膨らんだ楕円形となっており

このアルタイルの特徴として

高速自転している事は、よく知られている星ですが

今のところ

ベガの様な自壊との関係は見当たりません。

年齢約10億年とまだ若い星で

地球よりも後に誕生した進化段階の星であり

ヘリウムが中心核を形成しつつ

後に

進化の終末期となり赤色に膨れ上がり

赤色巨星(せきしょくきょせい)になります。

肉眼で赤く見えるようになりますが

見えるのは、35億年も先の話で

やがて

ガスが宇宙空間に放出され

星の芯の部分だけが残り少しずつ冷えていき

全く光らない天体となります。

はくちょう座のデネブ

七夕伝説では

織姫と彦星が天の川を渡る際

翼を広げて橋渡しをする役となっているのは

「カササギ」ですから

「デネブ」が七夕の「カササギ」にあたります。

天の川の中に見える星であることから

「あまのがわぼし」の和名があります。

アラビア名はザナブ・アッダジャージャ

「ザナブ」が尾にあたり

「めんどりの尾」を意味し

はくちょう座の尾にデネブがあります。

年齢1,000万年

地球までの距離は約1,400光年

半径は太陽の108倍

太陽の15倍ほどの重さがあります。

地球から見て、全天の19番目に明るく

明るさは太陽の54,400約倍で

星自体の輝きは

全天21星の中では2番目に明るく

非常に大きく非常に明るい白色超巨星です。

肉眼では

夏の大三角がほぼ同じ明るさに見え

デネブが実際には少し暗く見えるのは

地球から見たときの見かけの明るさであって

地球からの距離が極端に遠い位置にあるためで

果てしなく遠いゆえに

遠くにあればある程、

地球から見える星は暗く見えるわけですが

例えば

太陽を中心に回るさまざまな天体を

「太陽系」と言いますが

太陽系(太陽)から一番近い星の

ケンタウルス座のαケンタウリ(4.3光年)を

デネブに置き換えたら、

地球からは満月ほどの明るさで見える事になります。

西暦10,000年前後には、

北極星になると予測されていますが

数千万年後には

赤っぽい大きく膨張した星の赤色巨星へと変化し

ベガやアルタイルとは違い

星全体が中心にむかって崩れ落ちて崩壊します。

星を形成していた「ガス」は

宇宙空間に吹き飛ばされ

超新星爆発
(太陽の8倍程度以上の

質量の大きな星が一生を終える際

最終段階に起きる大爆発)を起こして

中性子星
(爆発によって電気を持たない星)か

ブラックホール
(崩壊した星を意味し

高密度、高重力ために物質だけでなく

光さえ脱出することができない天体)に

進化すると考えられています。

まとめ

夏の大三角の3つの星が、

全て鳥に見立てられているのも興味深い話です。

西暦13,000年頃

北の空には夏の大三角形が

天の沈まない北極地点に位置し

周極星として輝いていることでしょう。

星は宇宙が存在する限り

進化の終末を終えた星たちの

宇宙空間に散らばったガスが集まり

新たな次世代の星が誕生し輪廻転生しています。

その星たちを

人間が眺められる未来はあるのか

地球は存在するのか

未来人にしかわからないことですが

数万、数十万年後

人類が生き延びていたら

現在眺めている星たちとは全く違う星たちを

私たちの子孫が眺め合って

新たな星伝説、星物語が誕生することでしょう。

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