行事

精霊馬とは?お盆のキュウリとナス?置き方や由来や意味も地域で違う

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精霊馬(しょうりょううま)とは

お盆(おぼん)にお供えする物のひとつです。

お盆の行事の内容や風習は

日本全国それぞれに様々な様式があり

盆の飾り方も

地域や宗派、家によっても千差万別でので

必ずしも定着したものでないことを

あらかじめご了承願います。

西日本にかけては、

「精霊馬」を作る風習のない地域が多いです。

精霊馬とは

日本古来の祖霊信仰である

夏に行われる祖先の霊を祀る一連の行事の、お盆。

その盆飾りのお供えのひとつに

「精霊馬」があります。

馬と牛のことですが

精霊馬、また、精霊牛(しょうりょううし)と呼びますが

実際は、精霊牛とは言わないようで

2つ合わせて精霊馬と呼んでいます。

精霊馬

キュウリやナスを用いて作り

動物に見立てた馬や牛型の人形のことで

精霊棚(盆棚)に飾り付けます。

別席を設けるスペースがない場合は

仏壇で精霊棚を兼ねるようにします。

キュウリやナスに

麻幹(おがら:麻の茎から皮を剥ぎ取ったもの)を使用し

動物の足に見立てて、4本差し込みます。

割り箸や爪楊枝やマッチ棒などを

利用する所もあります。

キュウリが「馬」、ナスが「牛」で

あの世とこの世を行き来するための

祖霊の乗る「乗り物」に見立てられています。

昔の乗り物と言えば

「馬」と「牛」は、歴然としています。

お盆の時期は地方によって様々ですが、

旧暦7月15日、

新暦7月15日、8月1日などや

ほぼ全国的に

新暦月遅れ盆8月15日を

中心とした期間に行われますので

8月13日から16日が多いようです。

置き方も様々

●迎え盆である13日

精霊棚の上にお供物と共に

精霊馬を仏壇に向けて置いて飾り

送り盆の16日は仏壇の外に向けて置きます。

ヘタの方が頭になります。

他には

●ご先祖様は東から来られると言われるため、

キュウリやナスを、西向き、東向き、という置き方。

●ご先祖様は

入り口から入って来られるため、

玄関に向けるという飾り方もあります。

●来るとき帰るときに乗ってもらいたいほうを

それぞれの方角に向けて飾るときは

2つ、別々の方向を向けて飾る置き方。

など、いろいろですね。

馬と牛の役割り

ご先祖様を迎えるにあたり

いろいろな願いが、それぞれ込められています。

●足の速い馬に乗って

早くあの世から家に帰って来られますように。

歩みの遅い牛に乗って、この世の名残りを惜しみ

ゆっくりと少しでも遅くあの世に戻って行けますように。

また

お盆中のお供物を牛に積んで持ち帰れるように。

●丁寧にお迎えしようと、

牛に乗ってゆっくり来られますように。

帰りは

馬に乗って急いで帰れますように。

●行きも帰りも馬に乗り、

牛には

供養したお供え物などの荷物を乗せて帰れるように。

迎え盆に牛を作り、送り盆に馬を作るなど、

地域ごとに作る順番や飾る時期、意味合いも様々ですし

キュウリやナスではなく

地域の収穫物によっても違うようです。

精霊馬のルーツ

「七夕(たなばた)」と言えば、

天の川の

彦星と織姫の星伝説が思い浮かびますが

実は

穀物、農作物の豊作祈願や

「棚機(たなばた)」 という

神聖な着物を織る神事や

先祖を迎えるという祖霊信仰が七夕行事で

お盆行事と習合したと考えられています。

古くは、

旧暦の7月15日がお盆にあたり

その1週間前の7月7日の「七夕」が

お盆期間の始まりとされていましたので

多くは、そのお盆のほぼ1週間前に

祖霊信仰となる七夕行事が行われていました。

そこで着目したいのが

「七夕馬(たなばたうま) 」です。

七夕馬とは

七夕の日に、真菰(まこも)というイネ科の草や

ワラや茅葺(かや)を使って作られる

雌雄の馬の草製人形の事で

馬や牛を作る地域もあります。

七夕馬

提供:千葉県茂原市

やはり

祖霊を迎えるための乗り物として作られ

七夕行事の習俗の一つとして取り入れられ

地域により馬、牛の形や飾り方、

行事の意味などに違いはありますが

「真菰で作られた七夕馬」や

「キュウリやナスの七夕馬」も存在し

七夕馬を精霊馬と言う所もあり

その七夕馬が

1週間後のお盆に連なる行事として供えられ

更に「精霊馬」に変化したものだとされます。

なぜ?キュウリとナス

キュウリとナスは

仏教と同じくインドから伝わり、栽培されるようになった野菜で

七夕からお盆の時季にかけて、旬にあたる夏野菜です。

昔からどの地域でも

身近な野菜だったということが理由のひとつです。

そして、

足となる、麻幹(おがら)や割り箸などをさして飾るのに

丁度良い、固さと大きさだったという事もあります。

その他、諸説があり

七夕の、牽牛(けんぎゅう)こと彦星が

天の瓜(キュウリ)を盗み食いしたため

瓜(キュウリ)の水分が天の川になったという話から

キュウリとの関連性。

仏様が座る

蓮の台座のことを「うてな」と言いますが

その形が似ていることにより、

ナスのヘタも「うてな」と言うことから

ナスとの関連性。

など

水神様はナスが好きといわれている話しや

スサノヲノミコトの話しや

弘法大師の話し・・・

まだまだ、まつわる話しはあるのですが

その話しはまたの機会に・・・

精霊馬の処分は?

お供え後、

お菓子など、お供えを頂く地域もありますが

精霊馬は祖霊の大切な乗り物ですし

数日間、お供えした生物ですから

食べるわけにはいきませんので控えましょう。

送り盆が済んだ後の精霊馬や

その他の処分するお飾りは、川や海に流すのですが

川や海に流す習慣は

他の伝統行事でも見かける光景です。

現在は

川や海に流すことは出来ませんので

お寺に処分をお願いしましょう。

燃やしたり、土に埋めるところもありますが

最近では

半紙など白い紙に包んで、塩で清めてから

ゴミとして処理しています。

まとめ

浄土真宗では、

精霊棚をはじめとする盆飾りを用意する必要がないとされ、

独自の考え方があるようです。

精霊馬との関連に

「ご先祖様が迷わない様に。」と願う

「迎え火」、「送り火」のお話しもありますが

またの機会にお話しします。

ご先祖様が里帰りするお盆。

勿論、行事そのものも大切ですが

そこに

私たちの「心」が込められていなければ、何の意味もありません。

ご先祖様なくして、

私たちが生きていることを忘れてはいけません。

ご先祖様を慕い、敬い、感謝する心

その心の表れが大切なことで

ご先祖様と家族や親族が共に過ごす時間となる

あの世からこの世へと繋がった数日間を、大切に過ごし

日本の心である「おもてなし」をさせて頂きましょう。

そして、

また来年も、お会いしましょうと・・・

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