入梅の意味も奥が深い.入梅と梅雨.梅雨入りとどう違うのか?語源は?

公開日: : 最終更新日:2020/06/30 生活

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「入梅」と
 暦に書かれているのを目にしたことはありますか?

入梅(にゅうばい)は
 梅雨入り(つゆいり)を指し
 「暦の上で梅雨が始まるとされている日」のことで
 暦上で日にちが決まっています。


梅雨(つゆ、ばいう)は
 春から夏に季節が移り変わる時
 東アジアの地域に見られる雨が多くなる季節現象で
 毎年、日にちが異なります。

暦上の入梅とは


「入梅(にゅうばい)」は
 本来
 少ない字数で意味を表現する漢語的表現で
 例えば
 「待ち望む」→「待望」
 「外でたべる」→「外食」などと同様
 「梅雨入り」→「入梅」です。

「入梅」は、
 雨季に入ることで、暦の上ではこの日から
 約30日間が梅雨の期間ということになり 
 梅雨入り時期を把握するために設けられた雑節の一つです。
 
 雑節とは
 「二十四節気(にじゅうしせっき)」を補う季節の移り変りを
 より適確に掴むために設けられた日本独自の暦日のことで
 「節分」「彼岸」「土用(どよう)」「八十八夜」などがあり
 その一つに「入梅」があります。
 
 
太陽が天球上を
1年かかって1周する経路を「黄道(こうどう)」と言い
黄道上の動きを
15度ごとに24等分したものが「二十四節気」です。

二十四節気は
春夏秋冬の4つの季節に分け、さらにそれぞれを6つに分けて
季節を表す言葉として用いられています。

二十四節気


二十四節気


・立春(りっしゅん)
・雨水(うすい)
・啓蟄(けいちつ):黄径345度
・春分(しゅんぶん):黄径0度
・清明(せいめい):黄径15度
・穀雨(こくう):黄径30度
 

・立夏(りっか):黄径45度
・小満(しょうまん)
・芒種(ぼうしゅ):黄径75度
・夏至(げし):黄径90度
・小暑(しょうしょ)
・大暑(たいしょ)
 

・立秋(りっしゅう)
・処暑(しょしょ)
・白露(はくろ)
・秋分(しゅうぶん):黄径180度
・寒露(かんろ)
・霜降(そうこう)
 

・立冬(りっとう)
・小雪(しょうせつ)
・大雪(たいせつ)
・冬至(とうじ)
・小寒(しょうかん)
・大寒)だいかん):黄径300度


黄道上で
「春分」に太陽が居る位置の「春分点」を起点0度として
黄道を360度に分けて測った角度を
「黄径(こうけい)」と言います。

芒種

1678年(延宝:えんぽう 6年)の江戸時代
「入梅」が最初に暦に載ったのは
大経師暦(だいきょうじごよみ)だと言われています。
 
 大経師
 (朝廷御用の表具師の長で新暦刊行の権利を与えられていた)が
 毎年11月初めに発行した暦です。 
 
1686年(貞享:じょうきょう 3年)頃
どの暦にも「入梅」が載るようになったようです。


その頃の入梅は二十四節気の
春の「立春(りっしゅん)」から9番目にあたる
「芒種(ぼうしゅ)」が基準で
「芒種後の最初の壬(みずのえ)の日」と定義されていました。

 「芒種(ぼうしゅ)」は
 芒(のぎ :稲など実の先端にある針状の突起)を
 持った穀物の種まきに適した時季という意味です。
 

「壬の日」は、10日に一度ありますから
 「芒種(ぼうしゅ)」は、新暦6月6日頃で
 その後の10日間ということは
 入梅は6月7日~16日頃の間となりますが
 次第に
 芒種の日が壬の日にあたった場合はその日を入梅としたので
 6月6日~15日頃となります。
 
 
1844年(天保:てんぽう 15年)
入梅は「太陽黄経80度の日」とされました。

「壬の日」の10日幅を均して
 5日目と平均値した日になったもので
 太陽は1日に1度進むとされていましたので、
 「芒種=黄径75度=新暦6月6日頃」から5日目で
 入梅は
 「太陽黄経80度の日」で6月11日頃になります。
 
 
これが暦上の入梅で
梅雨の季節に入る最初の日を指し
梅雨入りの時期を前もって示すために導入された雑節です。
 
気象情報がまだ発達していなかった時代
農家にとって梅雨入りの時期を暦上で知ることは
水田稲作の目安を決めるのに重要なことでした。
 
 
入梅は
気象条件や地域に関係なく暦に記載されますが
実際の気象上の梅雨の期間に入る「梅雨入り」は
その年の気象条件や地域によって差があるため
気象庁の発表をもって「梅雨入り」となり
毎年日にちが異なっています。


入梅の対義語は「出梅(しゅつばい)」で
 昔の暦の出梅の定義については 
 「小暑後の最初の壬の日」で新暦7月7日~16日頃ですが
 「出梅」は
 日本では現在、ほとんど取り上げられることが有りません。

梅雨とは

梅雨とは
 日本、韓国、中国の南部から長江流域、台湾など
 東アジア地域の特有の気象現象で
 春から夏に移り変わる際に雨や曇りの日が多くなる
 雨の季節の期間のことで「雨季」です。
 
 梅雨の期間は普通、1ヶ月から1ヶ月半程度です。

なぜ梅雨は雨が何日も降り続く?

なぜ梅雨の時期は雨が何日も降り続くのでしょうか? 

梅雨の時期に雨を降らせているのが梅雨前線です。
 
前線は
「暖気団(暖かい空気の塊)」と
「寒気団(冷たい空気の塊)」がぶつかりあう境目のことです。 
 
梅雨の時期になると
 日本の北部、オホーツク海に冷たく湿った「オホーツク海気団」と
 日本の南部、太平洋の暖かく湿った「小笠原気団」が勢力をつけ
 この2つがぶつかって数か月に渡って少しずつ北上していくのが
 梅雨前線です。
 
 通常は
 暖気団か寒気団のどちらかの勢力が強いので前線は移動しますが
 「オホーツク海気団」と「小笠原気団」は、
 日本列島の上でぶつかり合っていますが勢力がほぼ釣り合うため、
 あまり南北に移動することはありません。
 
 同じ地域を一進一退して前線がその場所にとどまる「停滞前線」が
 「梅雨前線」なので同じ地方で雨が降り続くことが多くなります。


やがて
 ホーツク海気団が勢力を弱めるとともに
 それに伴い消滅すると、梅雨明けを迎え
 これをもって本格的な夏の到来となります。


日本で梅雨がない地域は
北海道、小笠原諸島と言われています。

北海道は
 北上する梅雨前線が北海道を通る頃には
 勢力は弱まり、消えてしまうことがほとんどです。
 
 一時的に前線が北海道付近に停滞して
 雨が続くことがあり「えぞ梅雨」と呼ばれる事がありますが
 梅雨がない地域とされています。

 近年では
 北海道でも気温が上昇し、湿度が高くなって
 梅雨に似た現象が現れやすくなっています。


小笠原諸島は
 梅雨前線は小笠原諸島より北に現れ
 太平洋高気圧の勢力が強いため
 梅雨がない地域とされていますが
 5月中旬から6月上旬頃、降水量の多い時期であり
 地元の方は「梅雨は存在します。」といいます。
 
 
梅雨の期間は6週間程度あり
 他の地方に比べて雨の期間が短く
 気象庁では北海道梅、小笠原諸島は
 「梅雨に関する気象情報」を発表していません。

梅雨入り(つゆいり)

梅雨入りとは、梅雨の期間に入ることです。 

暦の「入梅(にゅうばい)」の日と
 気象上の実際の
 「梅雨入り」の日とは重ならないことが多い為
 放送用語では、「入梅」・「出梅」は使わず
 「梅雨入り」・「梅雨明け」という表現を用いる事になっています。

各地の地方気象台・気象庁が
 現在までの天候経過と一週間先までの見通しをもとに
 梅雨入り・梅雨明けしたと思われるその日に「速報値」として
 
「梅雨入りしたとみられます」

「梅雨明けしたとみられます」 と、気象情報で発表しますが
 具体的な基準はなく
 「確実に毎年当てはまる」という定義が存在しないのです。


 曇りや雨が今後数日以上続くと推定されるときに、
 それを「梅雨入りの日」とし
 晴れが数日以上続くと推定されるときに
 「梅雨明けの日」とあくまでも予報的なもので 
 9月に最終的な梅雨の時期を「確定値」として発表し
 期日の修正が行われたり
 「特定せず」という表現になることもあります。 
 
 梅雨前線が停滞したまま「立秋(8月8日頃)」を過ぎると、
 梅雨明けの発表はされません。
 
 発表は
 マスコミの要請があったからという理由と
 大雨による災害発生時の防災のため注意喚起、
 必要な農業用水等を蓄える目安、
 多雨による生活面・経済面に様々な影響を与えるなど
 社会的にも関心の高い事柄であることから 
 梅雨の入り明けの速報を
 「梅雨の時期に関する気象情報」として発表しています。

語源・由来

「梅雨」は、
 日本の奈良時代(710年~794年)にあたる
 中国唐代の文学第2期の盛唐(せいとう)の時代
 
 杜甫(とほ:712年~770年)という詩人の
 
「梅雨」
 ・・・四月熟黄梅・・・
 ・・・4月になると梅の実が黄色く熟す・・・
 
 また、
 中国唐代の文学第3期の中唐時代
 柳 宗元(りゅう そうげん:773年~819年)という詩人の
 
「梅雨」
 梅實迎時雨・・・
 梅の実は時雨を迎えて成熟し・・・
 
 など、「梅雨」と題した詩を詠んでいます。
 
 古くから「梅雨」という言葉が使われていますが
 中国の内陸部では梅雨はありませんから、
 梅雨を詠った漢詩は少ないようです。

語源としては

・「梅の実が熟す頃に降る雨」を
  中国の長江流域では「梅雨(メイユー)」と呼んでいたという説。
  
・「霉(カビ)が生えやすい時期の雨」ということで
  元々は「霉雨(メイユー)」と呼んでいのを、
  語感が良く季節に合わせて「梅雨」に転じたという説。 
  
その他にもありますが
一般的にこの2説が伝わっています。
 

「梅雨(ばいう)」という言葉は、
 すでに平安時代(794年~1185年)には、日本に伝わっていたようです。

漢詩歌人の
 都良香(みやこのよしか:834年~879年)の
 「梅雨新霽(ばいうあらたにはる)」など
 「梅雨」の文字が含まれた詩があり
 公卿(くぎょう)/ 歌人の藤原 公任(ふじわら の きんとう)の
 1013年頃(長和2年頃)に成立した
 「和漢朗詠集(わかんろうえいしゅう)」に
 見つけることができます。
 
当時は
 梅雨と言うより
 「五月雨(さみだれ・さつきあめ)」と呼ぶ事が一般的だったようで
 「五月雨」が使われるようになる以前は、
 「長雨(ながあめ)」という言いかたのようでした。

五月雨の他には
 「長雨」や「卯の花腐し(うのはなくたし)」などが
 この時期の季節を表す言葉として使われており
 「卯の花腐し」は「五月雨」の異称で
 卯の花(空木:ウツギ)を腐らせるほど続く長雨を意味しています。
 
その後江戸時代、
 貝原益軒(かいばら えきけん)が指導し
 貝原好古(かいばらよしふる)」が編纂し1688年(元禄元年)に刊行された
 「日本歳時記(にほんさいじき)」に
 「此の月淫雨ふるこれを梅雨(つゆ)と名づく」という表記があり
 「つゆ」と呼び始めたのは江戸時代になってからのようです。 
 
「つゆ」に関しては
 室町時代1474年頃に刊行された
 国語辞書「文明本節用集(ぶんめいぼんせつようしゅう)」に、
 「墜栗(つゆ)」と記されてあります。

 1597年刊行された
 「易林本節用集(えきりんぼんせつようしゅう)」に、
 「墜栗花(ついり)」とあり 
 「栗の花が墜(お)ちる」という意味で
 その頃、梅雨の季節となるということから
 栗の花を梅雨入りの目安としていたと思われます。
 
 
「つゆ」と呼ぶようになった語源
 
・露の季節
 木の葉などに降りる水滴の「露(つゆ)」
 
・梅の実が熟す頃という意味として
 芽が出る、芽がふくらむの古語の「熟る(つはる)」
 
・梅の実が熟し潰れるを意味する「潰ゆ(つゆ)(ついゆ)」
 
・物が損なわれる意味の「費ゆ(ついゆ)」

など、はっきりとしたことは分かっていませんが
この季節の象徴的なものが「梅」で
この長雨で梅を熟させますから
「梅」との関連性は深いものであったと思います。

梅雨のつく言葉

梅雨のつく言葉(意味は省略させていただきます。)


青梅雨(あおつゆ)

長梅雨(ながつゆ)

走り梅雨

迎え梅雨

送り梅雨

戻り梅雨

梅雨晴れ(つゆばれ)

乾梅雨、空梅雨(からつゆ)

旱梅雨(ひでりつゆ)

照梅雨(てりつゆ)

枯梅雨、涸梅雨(かれつゆ)

陽性梅雨(ようせいばいう)=男梅雨(おとこづゆ)

陰性梅雨(いんせいばいう)=女梅雨(おんなづゆ)

菜種梅雨(なたねづゆ)

梅時雨(つゆしぐれ)

梅雨葵(つゆあおい)

山茶花梅雨(さざんかづゆ)

筍梅雨(たけのこづゆ)

すすき梅雨

梅雨寒(つゆざむ)

梅雨空(つゆぞら)

梅雨雷(つゆかみなり)

荒梅雨(あらつゆ・あれつゆ)

 など・・・

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